日韓両政府は16日、日本の対韓輸出管理の厳格化をめぐり、約3年半ぶりに貿易管理当局による局長級の政策対話を経済産業省で開いた。輸出管理厳格化の原因となった韓国側の貿易管理体制などで意見交換した。輸出管理厳格化の見直しには至っていないが、政策対話は継続し、次回をソウルで近く開催することで合意した。時期の詳細は明らかにしていない。
政策対話終了後、記者団の取材に応じた梶山弘志経産相は「それぞれの責任と裁量のもとに実効的な輸出管理の推進が必要との認識を共有した」と成果を強調した。その上で、「確認を重ねていく中で、(輸出管理厳格化の見直しなどを)判断していく」と述べ、韓国側の貿易管理体制を引き続き注視していく考えを示した。
政策対話には、日本側から経産省の飯田陽一貿易管理部長ら、韓国側は産業通商資源省の李(イ)浩(ホ)鉉(ヒョン)貿易政策官らが出席。予定を3時間近くオーバーし、同日夜8時過ぎまで続いた。
会見した飯田氏は、輸出管理厳格化の見直しについて「決まっているわけではない」と話した。
韓国側は政策対話を通じ、日本の輸出管理厳格化の撤回を求める考えに変化はない。
これに対し、日本は一連の措置は安全保障上の貿易管理に関する国内運用の見直しとの姿勢を崩していない。韓国の貿易管理上の法制度の不備や審査体制の脆(ぜい)弱(じゃく)性などが改善され、それが政策対話などを通じて確認されなければ措置を見直さない方針だ。
日本は7月、軍事転用の恐れがある半導体材料3品目の対韓輸出について、個別許可申請を求める制度に切り替えた。さらに8月には輸出優遇措置の対象となるグループA(ホワイト国)から韓国を外した。
日韓両政府は、軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)の失効が回避された11月22日、韓国が輸出管理厳格化をめぐる世界貿易機関(WTO)への提訴手続きを中断したことを受け、政策対話の再開で合意。今月4日にウィーンで政策対話に向けた準備会合を開き、貿易管理体制などに関して意見交換することを確認していた。