【モスクワ時事】モスクワ中心部にあるロシア連邦保安局(FSB)本部周辺で19日夕(日本時間20日未明)、発砲事件があり、タス通信によると、FSB職員1人が死亡した。容疑者も治安部隊に射殺された。首都中心部で銃声が鳴り響く異例の事態に通行人はパニックに陥り、現場付近は騒然とした雰囲気に包まれた。
当初は複数犯との情報もあったが、FSBは「犯人は1人」で「FSB庁舎への侵入はなかった」と発表した。容疑者の身元は明らかになっていない。重大犯罪を扱う連邦捜査委員会も捜査に乗り出した。
地元メディアがインターネット上で公開した映像ではFSB本部の建物に何発も銃弾が撃ち込まれていた。保健省によれば、5人が負傷した。
FSBは旧ソ連国家保安委員会(KGB)の後継機関。プーチン大統領は19日夕、モスクワで治安機関関係者の式典に出席しており、これに合わせた犯行だった可能性がある。
ロシアでは2018年、北部アルハンゲリスクのFSB庁舎で17歳の少年が自爆し、数人が負傷する事件が起きている。17年にも極東ハバロフスクのFSB庁舎で男が発砲し、職員らが死亡した。FSBはイスラム過激派摘発に力を入れており、動機として疑われたが、ネオナチによる犯行という見方もあり、背景はよく分かっていない。