政府は20日午前、2020年度予算案を閣議決定した。一般会計総額は102兆6580億円で、19年度当初予算から1兆2009億円増え、過去最大を8年連続で更新した。当初段階で100兆円を突破するのは2年連続。高齢化による医療・介護費用の増加や、来年4月に始まる高等教育の負担軽減策などで社会保障費が大きく膨らんだ。
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社会保障や公共事業など国の政策に充てる「一般歳出」は、19年度当初予算比1兆5333億円増の63兆4972億円。消費税増税や世界経済の下振れに備えた景気の下支え策で、1兆7788億円を計上する。
項目別では、全体の約3割を占める社会保障費は35兆8608億円で、19年度当初比1兆7302億円増(5・1%増)と大幅に増加した。防衛費も、559億円増(1・1%増)の5兆3133億円と6年連続で過去最大を更新した。
歳入では、消費税増税の効果もあり、税収は1兆180億円増の63兆5130億円と過去最大を見込んだ。国の新たな借金となる新規国債発行額は1043億円減の32兆5562億円で、小幅ながら当初予算としては10年連続の減額とした。ただ、歳入の3割超を借金に頼る構図は変わっていない。
財政健全化の指標で政府が25年度の黒字化を目指す基礎的財政収支は、9兆2047億円の赤字で19年度から小幅に悪化する。20年度末の国・地方の長期債務残高は1125兆円と見込んでおり、国内総生産(GDP)比は197%となる。【森有正】