ロシア政府内の会議で、プーチン大統領が経済成長の目標達成を要求したのに対して政権幹部が異例の反論をし、長引く経済の低迷によって、政権内部でも大統領の経済政策に疑問の声が上がっている現状が露呈しました。

ロシアのプーチン大統領は25日、国家プロジェクトの進捗状況などを確認する政府会議で「国民の多くは生活がよくなっているという実感を持てずにいる」と述べ、閣僚らにそれぞれの目標を確実に達成するよう求めました。

これに対して会計検査院のクドリン長官は、現在、ロシアの経済成長率は1.5%から2%と低く、政府が再来年の目標として掲げる「3%以上」の達成は難しいと反論しました。

そのうえで「教育と医療の予算は、過去6年とこの先の6年がほぼ同じ水準だ。仮に毎年、経済成長が達成できても伸び率はわずかなものにすぎない」と述べて、現状に照らせば国民が経済成長を実感できないのはやむをえないとの認識を示しました。

クドリン氏は、プーチン大統領の1期目から2期目にかけて財務相を務め、現在のロシア経済の基盤を作った重鎮の1人です。

しかし、欧米の経済制裁が5年前に始まり、その後、通貨ルーブルが下落したことなどで、ここ数年、ロシア経済は低迷が続いていて、強権的とされるプーチン政権の内部でも大統領の経済政策に疑問の声が上がっている現状が露呈しました。