2019年通年の米貿易赤字は6年ぶりに縮小した。中国からの輸入と石油輸入が大幅に落ち込んだことを反映しており、貿易赤字縮小を公約したトランプ大統領にとっては一定の成果を示す内容となった。18年の赤字は10年ぶりの高水準だった。

キーポイント
・2019年の財・サービス貿易の年間赤字は前年比1.7%縮小し、6168億ドル
・12月単月では489億ドル
 ・カナダからの石油輸入急増が影響
 ・前月は437億ドル(速報値431億ドル)に修正
 ・ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想中央値は482億ドル
U.S. annual trade deficit narrowed in 2019 for first time in six years

トランプ氏は貿易赤字について、歴代大統領の貿易政策が失敗した証拠だとの主張をたびたび展開するが、実際には同赤字はトランプ氏の大統領就任前よりなお20%余り大きい。米国の個人消費が着実に伸び、輸入が増えていることを映している。

中国に対する財の貿易赤字は19年通年で3456億ドルと、前年比17.6%縮小。18年は過去最大だった。中国からの輸入は16.2%減と、世界的な金融危機当時の09年を上回る大幅なマイナスとなった。対中輸出は11.3%減で、少なくとも03年以降で最大の減少率。

これにより米国の財の貿易相手国・地域として、中国は前年の1位から3位に後退。代わって1位にメキシコ、2位にわずかの差でカナダの順になった。対メキシコと対欧州連合(EU)の財の貿易赤字は、それぞれ過去最大に膨らんだ。一方、米国のサービス収支の黒字は4%縮小して2492億ドルとなった。輸入増が影響した。

19年の米貿易赤字縮小の要因としては、石油も大きかった。石油の輸出が増える一方で、輸入は314億ドル減の1939億ドル。この結果、石油の年間貿易赤字は137億ドルと、過去最低水準に縮小した。米国は月間ベースでは昨年9月以降、石油の純輸出国になっている。

石油以外の財の貿易赤字は8392億ドルで、記録的な高水準。

2019年通年の輸出は0.1%減の2兆5000億ドル。自動車、消費財、石油は増加したが、ボーイングが737MAXの運航を停止し、民間航空機が減少した。輸入は0.4%減の3兆1200億ドル。原油や通信機器などの輸入が鈍った。

原題:U.S. Annual Trade Deficit Shrinks for First Time in Six Years(抜粋)