[ニューヨーク 5日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、ドルが円やスイスフランに対し上昇。 新型コロナウイルスのワクチン開発の可能性を示唆する報道を受け、リ スク選好度が上昇した。朝方発表された1月の米ADP民間雇用報告が 予想を上回り、米経済が安定的な成長軌道に乗っている兆候を示したこ ともドルの上昇に拍車を掛けた。

英スカイ・ニュースは、同国の科学者による新型コロナウイルスの ワクチン開発に大きな進展があったと報道。ワクチンの通常の開発期間の一部を「2─3年からわずか14日に」短縮することが可能になった という。また市場関係者によると、中国のテレビは浙江大学の研究チー ムが新型コロナウイルスに有効な治療薬を発見したと報じた。新型ウイルスワクチン巡る報道を手掛かりに、リスク資産を買い増 す動きが広がったことが指摘された。

中国人民銀行(中央銀行)が新型コロナウイルス感染拡大で悪化 していた市場心理の回復を目指し、これまでに多額の資金を金融システ ムに供給していることも投資家心理を支えている。

ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズの為替ストラテジスト、エ リック・ネルソン氏は「投資家心理の下支えに向け、中国当局はあらゆ る措置を講じている。一段の行動が取られると予想する」と述べた。

終盤の取引で、ドル/円は0.3%高の109.71円。一 時、2週間ぶり高値となる109.84円を付けた。ドルは対スイスフランでも0.5%上昇し、0.9738フ ラン。

中国リスクに敏感な豪ドルは0.2%高の0.6754米ド ルとなった。 オフショア人民元も対ドルで0.2%高の6.97 51元。ユーロ/ドルは0.4%安の1.0995ドル。主要6通貨に対するドル指数は0.4%高の98.308。

1月の米ADP民間雇用報告では民間部門雇用者数が29万100 0人増と、市場予想の15万6000人増を大きく上回り、2015年 5月以来大幅な増加幅となった。

1月の米非製造業総合指数(NMI)も19年8月以来の高水準と なった。新規受注が好調だった。 前出のネルソン氏は「米経済は長期間にわたり底堅さを示している 。世界の経済情勢も上向いており、米経済にとって良好な材料と言える 」と述べた。

ドル/円   NY終値     109.80/109.83
               始値     109.56
               高値     109.84
               安値     109.56
 ユーロ/ドル NY終値    1.0997/1.1001
                始値    1.1020
                高値    1.1023
                安値    1.0994