[ベルリン 11日 ロイター] – 関係筋によると、ドイツのメルケル首相率いる与党・キリスト教民主同盟(CDU)の議員は、党指導部がまとめた次世代通信規格「5G」網構築に関する政策方針書を支持した。 

同方針書は、海外メーカーの規制強化を勧告しているが、中国の通信機器大手ファーウェイ(華為技術)の排除は見送っている。 

政策方針書は、ファーウェイを国家安全保障上の脅威とみなす一部の党員の懸念に対処するためにCDU指導部がまとめた。CDUはこの方針書を連立政権の5G政策の土台にしたい考えだ。 

ファーウェイを巡っては、トランプ米大統領が同盟国に対し5G網の構築から排除すべきだと主張しているが、英政府はファーウェイ製品の全面排除を見送り、欧州連合(EU)もルールに基づくアプローチを支持している。 

政策方針書は「豊富なリソースを持つ国家であれば、どのような機器メーカーの通信網にも潜入できる。包括的な技術検査を行っても、セキュリティーリスクを完全に排除することはできない。最小化することが精一杯だ」と指摘。 

ただ「5G網の盗聴に対する防衛手段が全くないわけではない。強力な暗号とエンドツーエンド暗号化を利用すれば、通信とデータ交換の機密性を確保することができる」としている。 

ドイツの通信事業者3社はすべてファーウェイ製品を利用しており、ファーウェイを除外すればコスト増につながる。中国が通商面で報復するリスクも懸念されている。 

政策方針書では5G網のアクセス、トランスポート、コアネットワークを明確に区別しており、5Gの構成要素に応じてファーウェイ製品の扱いを変えることが可能となっている。