[ニューヨーク 17日 ロイター] – ニューヨーク外為市場ではドルが上昇した。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で経済が行き詰まるとの懸念が払拭されない中、流動性が高いと見なされているドルに買いが入る展開となった。
米連邦準備理事会(FRB)は15日に開いた緊急会合でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を100ベーシスポイント(bp)引き下げ、0─0.25%とすることを決定したほか、今後数週間にバランスシートを少なくとも7000億ドル拡大すると表明した。
他の主要中銀も緊急措置を取っているが、これまでのところ流動性逼迫や市場でみられているパニックの改善には至っていない。
終盤の取引で主要6通貨に対するドル指数=USDは1.63%上昇の99.72。スコシアバンク(トロント)の首席外為ストラテジスト、ショーン・オズボーン氏は「ストレスが高まっていることでドル相場が押し上げられている」と述べた。
FRBはこの日、新型ウイルス危機によるクレジット市場の緊張緩和に向け、2008年の金融危機時に導入したコマーシャルペーパー・ファンディング・ファシリティー(CPFF)の再導入を発表。声明で「緊張下において円滑な市場の機能を確実にし、家計や企業、幅広い雇用を支える信用を供与する」と表明した。
市場は新型ウイルスの感染拡大の影響の緩和に向け各国政府が新たな財政刺激策を打ち出すか注目。米国ではこの日、トランプ大統領が国民に小切手を支給する計画を明らかにしている。
この日発表の米経済指標では、2月の小売売上高が前月比0.5%減と、市場予想の0.2%増に反して落ち込み、減少率は2018年12月以来最大となった。
ユーロ/ドルEUR=は1.77%安の1.098ドル。ドル/円JPY=は1.82%高の107.78円。 豪ドルAUD=は対米ドルで2.42%下落し、1豪ドル=0.5969米ドルと、2003年以来の安値を付けた。3月9日からの下落率は10%を超えている。
オーストラリア準備銀行(RBA、中銀)が3月3日に開いた理事会の議事要旨によると、理事会は新型ウイルスの感染拡大を「前例のない」事態と認識し、「豪経済を支援するため金融政策をさらに緩和する用意がある」とした。
ドル/円
NY終値 107.67/107.70
始値 107.02
高値 107.86
安値 106.72
ユーロ/ドル
NY終値 1.0996/1.0998
始値 1.1026
高値 1.1039
安値 1.0956