米上院両党とトランプ政権が合意した過去最大規模の景気刺激策は、新型コロナウイルスの打撃を受けた小規模企業や国民にとって待望の救いだが、短期的な米経済への甚大な影響や失業急増を防ぐには不十分だ。エコノミストらはこう指摘する。
2兆ドル(約223兆円)規模の景気対策は、現金支給が必要な国民の全員が支払いを受けられるわけではなく、実施のタイミングも課題として残っている。
2008年のリセッション(景気後退)時にオバマ前政権で大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務めたジェーソン・ファーマン氏は、数日ないし数週間以内に追加の刺激策が必要であり、指導者らはその策定に今すぐ着手するべきだと指摘した。
法案の主要項目に関するエコノミストの見解は以下の通り。
個人への現金直接支給
低・中所得層に大人1人当たり1200ドル、子供1人当たり500ドルが直接支給される内容。ただ年収が7万5000ドルを超える個人は対象外。トランプ大統領は支援金小切手が4月6日までに発送されることを示唆したとされるが、過去のリセッション期ではこうした小切手の発送に約2カ月を要している。
- ロックダウンと事業活動低下の期間の長さによっては、一時払いでは不十分-ブルームバーグ・エコノミクスのアンドルー・ハズビー氏
- 何カ月にも及ぶ景気停滞期の間に複数回、支給を行う必要がある-元連邦準備制度理事会(FRB)エコノミストのクラウディア・サーム氏ほかエコノミスト
失業手当
失業保険は4カ月延長され、給付額は週当たり600ドル引き上げられ、受給資格が拡大される内容。
- 失業保険給付額はたいてい労働者が通常受け取る賃金の半分以下であり、収入減は埋め合わせられない-ブルームバーグ・エコノミクスのハズビー氏
企業および州・自治体政府の支援
- 小規模企業は概して同法案で十分にカバーされる。申請者の審査において課題が多くあるが、資金が速やかに支給されることがこれらの企業を存続させ、雇用を維持する上で不可欠だ-アマースト・ピアポント・セキュリティーズのエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏
原題:Record $2 Trillion U.S. Stimulus May Fall Short of Full Relief(抜粋)