新型コロナの急襲で経済の先行きがどうなるか気になる。今朝はこれに関連したいくつかの経済統計が発表された。とりあえず現状を確認してみよう。まずは米国。コンファレンスボード(CB)が毎月発表している消費者信頼感指数。3月は期待指数が88.2と前月から19.9%低下、2016年10月以来の低水準に落ち込んだ。日本では代表的な指数である大企業・製造業の業況判断指数(DI)が、昨年12月調査から8ポイント悪化しマイナス8となった。悪化は5四半期連続で、2013年3月調査以来、7年ぶりにマイナスに転落した。日米ともに経済状態は予想通り急激に悪化している。

新型コロナ禍に襲われた多くの国が似たような状況である。外出や移動に関する自粛要請が出ている。世界中が機能停止の状態に陥っているのだ。経済的にも目先の落ち込みは致し方ないだろう。問題は先行きだ。米金融大手ゴールドマン・サックスはきのう、米第2・四半期の成長率はマイナス34%になると衝撃の見通しを発表した。従来予想のマイナス24%から大幅に下方修正した。状況は日ごとに悪化している証でもある。つれて新規失業保険申請件数が急増、「米経済成長率のマイナス幅は拡大し、失業率も上昇する」と予想している。ただ同社は「金融政策と財政政策の効果で経済への衝撃が緩和される」としており、「第3・四半期の経済成長率はプラス19%になる」とV字型回復を予測している。果たしてどうだろうか。

消費者信頼感指数を詳しく見ると、最低所得層の信頼感が最も大きく低下している。「年間所得1万5000ドル(約160万円)未満の家計では、信頼感指数は31.4ポイント低下と、1980年に統計開始して以来の大幅な下げだ」という。日本でも状況は似たようなものだ。ひょっとすると日本の方がもっと悪いかもしれない。日銀が発表した業況判断指数の悪化は5カ月連続である。要するに消費増税以来足元の経済は悪化していたということだ。これにコロナ禍が重なった。安倍政権は緊急経済対策を策定中だが、コロナ禍の前から経済の悪化が始まっていたという認識が欠落している。ここに日本経済の先行きに関する最大の問題点がある。