【北京時事】中国湖北省武漢市は31日、新型コロナウイルス感染による死者が累計で2548人になったと発表した。しかしこの数字は、実際の遺骨の多さに比べて極端に少なく、市民は「全く信用していない」(米政府系メディア)とされる。感染が拡大した当初、ウイルス検査を受けられなかった「疑い例」の死者数が全体数から除外されているためだ。
武漢市の医師は中国メディア「財新」に、1月下旬から2月上旬の20日間はウイルス検査キットが足りず、感染者とほぼ同数の「疑い例」の患者が死亡したと証言した。疑い例のまま死亡すれば、新型ウイルスの死者として扱われない。このほか自宅での死者数は「市当局だけが把握している」と語った。
1月23日に封鎖された武漢市では、人が集まる葬儀は禁止され、火葬後の遺骨が葬儀場に安置されていた。4月8日の封鎖解除を前に、3月23日から遺族への返還が始まったが、葬儀場8カ所のうち「漢口葬儀場」では26日、約200メートルの列が二つでき、受け取りまで5~6時間待ちだったという。
この葬儀場に出入りする運送業者によれば、2日間で計5000個以上の骨つぼを納入。建物内のホールには3500個が積まれていた。
この間の死者の全てが新型ウイルスに感染したとは限らないが、米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、感染拡大ピーク時の1カ月間に2万8000人の遺体が火葬されたという。
30日の香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(電子版)は市当局者の話として、1月中旬から2月までは現場が混乱し、「疑い例」の患者数は公式に集計されなかったと伝えた。