ちょっと早いが米国の次期大統領を予想してみた。答えは民主党のバイデン氏だ。ひ弱で失言が多く、大統領候補としては迫力にかけている。こんな評価が一般的だ。予備選挙でブティジェッジ氏がいち早く撤退を表明、中道派が結集したことがバイデン氏を民主党の有力候補に押し上げた。だが、トランプ大統領に勝てる候補としては影が薄かった。そのバイデン氏に当確を打つのは、いくらなんでも早すぎる、そんな声が聞こえてくる。だがこの予想、本当に実現するような予感がする。理由は簡単だ。サンダース氏が13日、バイデン支持を表明したからだ。ロイターによると、「トランプ大統領の再選阻止に向け、民主党の結束を固めたい考え」だという。

これを受けてバイデン氏は、「サンダースと彼の支持者たちはアメリカの政治的な議論を変えた。これまでほとんど顧みられず、法案の成立などとうてい望めなかった政策課題が今や中心的なテーマになっている。所得格差、国民皆保険、気候変動問題、大学の授業料無償化、学生ローンの免除。これらはバーニーと彼の支持者たちが息吹を与えた課題の、ごく一部だ」との声明を発表した。4年前の大統領選挙。サンダース氏が撤退を表明したのは党大会の直前だ。そのうえ民主党候補に指名されたクリントン氏は、国民皆保険などサンダース氏の掲げた政策をほとんど無視した。その結果民主党の牙城といわれたイリノイ、インディアナ、ミシガン、オハイオ、ペンシルバニアといったラストベルト(錆びついた工業地帯)で敗北、トランプ氏に大統領の座を横取りされたのである。

4年前の失敗がサンダースとバイデン両氏を結びつけた。ニューズウィークによると両陣営は「経済や教育、移民、気候変動などの問題を巡り6つの政策グループを立ち上げる計画」だという。前回の大統領選挙でも民主党は投票総数でトランプ氏を圧倒していた。サンダース氏には若者中心に熱狂的な支持者がついている。サンダース氏がバイデン支持を表明したことで、民主党の「勝利の方程式」ができあがった。これに新型コロナが追い打ちをかける。ウイルスが抉り出したのは社会的弱者の痛ましい姿である。米国だけではない。世界中がそうだ。安倍首相にもトランプ大統領にも次はない。世界中の有権者がそう思いはじめている。