• 今年の世界GDPは3%減へ、新型コロナ流行が経済活動にブレーキ
  • 先進国の落ち込み最大、日本は5.2%減-中印はプラス成長維持へ
A pedestrian walks a dog through a deserted Plaza Matute past shuttered stores in Madrid, Spain, on Monday, April 13, 2020. 
A pedestrian walks a dog through a deserted Plaza Matute past shuttered stores in Madrid, Spain, on Monday, April 13, 2020.  Photographer: Paul Hanna/Bloomberg

国際通貨基金(IMF)は14日発表した最新の世界経済見通し(WEO)で、新型コロナウイルス感染防止のための「大規模ロックダウン(都市封鎖)」を受けて約100年で最も深刻なリセッション(景気後退)に陥ると予想し、感染が長引いたり再来したりすれば景気回復は予想を下回る恐れがあるとの認識を示した。

  IMFは、新型コロナ感染拡大と主要国による経済活動の事実上の凍結以来初めて公表した今回のWEOで、今年の世界GDP(国内総生産)を3%減と予測。1月に予想した3.3%増から悪化し、大恐慌以来最大の落ち込みとなる可能性が高いとした。これは金融危機でマイナス0.1%に低迷した2009年より大幅な落ち込みとなる。

  一方で2021年の世界GDPは5.8%増と、1980年以来の高成長になると予測したものの、リスクは下向きだと指摘。新型コロナのパンデミック(世界的大流行)の持続期間や経済活動への影響、金融・商品市場へのストレスに大きく左右されると付け加えた。

  今回の予測が正確だと判明しても、先進国と新興国のGDPは新型コロナ流行前のトレンドを21年までは下回るとの見方が示されており、公衆衛生の非常事態から景気がV字回復するとの期待感は後退しそうだ。

  IMFのチーフエコノミスト、ギータ・ゴピナート氏は報告書の序文で「今回の危機は他に類を見ない。戦争や政治危機のように、衝撃の持続期間や激しさを巡る重大な不確実性が根強い」と分析した。

  新型コロナ感染流行による経済的打撃は広範囲に及んでいる。WEOによると、米国の今年のGDPは5.9%減と、1月時点の予測の2%増から悪化する見込み。ユーロ圏は7.5%減の見通し。来年は米国、ユーロ圏とも4.7%増と予想する。

  IMFは「多くの国が公衆衛生へのショックや国内経済の混乱、外需急減、資本フローの逆転、商品価格の急落からなる重層的な危機に直面している」とし、「より悪い結果が生じるリスクが支配的だ」と指摘した。

  IMFは2月19日、20カ国・地域(G20)加盟国の財務相らに対し、「世界経済は底入れの段階にあるもよう」との認識を示していたが、3日後にゲオルギエワ専務理事は新型コロナで今年の世界成長率見通しが0.1ポイント押し下げられる可能性が高いと予測。「さらに深刻なシナリオ」も検討されていることを認めていた。

  地域別では、先進国のGDPが6.1%減と、最大の落ち込みが見込まれる一方、新興国と途上国は1%減にとどまる見通し。中国とインドは1.2%増と1.9%増に伸びが鈍化するものの、プラス成長を維持する見込みだとした。日本の今年の成長率はマイナス5.2%、21年はプラス3%となる見通しを示した。

  IMFの基本シナリオでは、新型コロナのパンデミックが今年後半に収束し、封じ込め措置が徐々に解除できることを想定している。

  パンデミックとの戦いに予想以上の時間を要し、21年に再発する可能性を含むシナリオもIMFは検討。パンデミックが予想以上に長引く場合は基本シナリオに比べ今年のGDPは3%減少し、これに再発が加わるなら来年のGDPは8%下押しされることになると予想した。また、財とサービスの世界貿易量は今年11%落ち込むとみる。

  先進国の消費者物価の伸びは今年、平均0.5%となり、21年には1.5%に加速すると予想。新型コロナのパンデミックの前には半世紀ぶりの低水準にあった米失業率は今年10.4%に上昇する可能性があるとした。

原題:IMF Says Great Lockdown Recession Likely Worst inceepression
IMF World Economic Outlook Update: Projections Summary (Table)(抜粋)