[ワシントン/サンフランシスコ 14日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)当局者は14日、米経済活動の再開と新型コロナウイルス感染症の再流行阻止を切り離すことはできないと主張し、両立に向けた方法が必要との見解を示した。 

地区連銀総裁らは、ほぼ全土にわたる検査や企業・家計・地方政府に対する全面的な財政支援などを呼び掛けたほか、新型コロナ感染がピークを達する前に一部の州で経済活動再開に向けた準備が進められていることについて懸念を示した。 

米ニューヨークなど北東部7州の知事は13日、経済活動の段階的な再開と外出制限の緩和に向けて、連携して戦略を策定することで一致。米西部ではカリフォルニア、オレゴン、ワシントンの3州の知事が、人との接触を避ける「ソーシャル・ディスタンシング」(社会的距離)措置の解除に向け協調することで合意した。 

ボスティック総裁はこの日、ヤフー・ファイナンスのインタビューに対し、アトランタ地区連銀がある南部地域では「(感染拡大抑制に向けた)ロックダウン(都市封鎖)の厳しさの度合いにはかなりばらつきがある」と指摘。米経済は夏に再び成長し始める可能性はあるが、「管轄域内のすべての市場を注視し、どのような軌道を取るのか、また、どれだけ早い時期に(感染拡大が)ピークに達するのか見極めようとしている」と述べた。 

4─6月期は大幅な景気後退が予想されているが、ブラード米セントルイス地区連銀総裁は、ロックダウンによって米経済が1日当たり約250億ドルの損失を被っている現状は永久には続かないと言及。ただ経済活動の再開は、全国的なリスク管理計画とともに安全に行われる必要があるとした。 

ブラード総裁は、経済活動の再開は政治家の「宣告」によって行われるものではなく、家計や企業が日常生活の再開に向けた方法を見つけ出すことによって行われるべきと指摘。「新型コロナが世の中に存在し、短期的にはワクチンを入手できないことを理解した上で、安全な労働環境を提供する方法について革新的になる必要がある」とし、理想的には約3億3000万人の米国民に対する広範な検査などリスクを軽減する方法が重要だと述べた。 

また、新型コロナの感染拡大が抑制され、発生率が低下すれば経済活動を再開することが可能で、米経済は急速に回復する可能性があると語った。 

一方、米シカゴ地区連銀のエバンズ総裁は、感染抑制策の解除が早すぎて、ウイルス感染が再び広まる事態になれば、景気減速は長期化すると警告。 

「新型コロナの感染拡大を抑制することが難しい場合には、想定よりも長期にわたる政策を用意する必要があるかもしれない。新型コロナは全ての米国民に影響を及ぼしている。この損失を社会的に負担することは政府の役目だ」と述べた。