[ブリュッセル 23日 ロイター] – 欧州連合(EU)首脳は23日、世界中で猛威をふるう新型コロナウイルスへの対応として、1兆ユーロ規模の緊急基金を設立することで合意した。ただ、資金を返済の必要がない助成金として支給するのか、あるいは返済が必要な貸付金として支給するかを巡って各国の意見が分かれたため、詳細は今後に持ち越すことになった。 

フランスのマクロン大統領は「各国の溝は埋まっていない」と認めた上で「お金を貸すために借金を背負うとしたら、それは本当に必要な対応だと言えるだろうか」と表明。イタリアやベルギー、ギリシャといった国々はすでに多額の債務を抱えていると述べた。 

イタリアのコンテ首相は、基金の規模について1兆5000億ユーロ程度が望ましいとした上で、資金は助成金として支給すべきと主張。「公衆衛生の危機は社会的な危機に発展し、今や政治的な危機さえ招いている」と指摘した。スペインも助成金扱いとする考えに賛成すると表明した。 

これに対し、オーストリアのクルツ首相は、資金は助成金ではなく貸付金として支給すべきで、「同様の意見を持つ国々」と共同歩調を取ると明言、デンマークやスウェーデン、フィンランド、オランダなどとの連携を示唆した。この他、フランスは基金を通じたEUの共通債発行が望ましいとした。 

外交筋によると、EU首脳は欧州委員会に対し、5月6日までに詳細を詰めた案を提示するよう指示した。 

欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は23日、EU首脳に対し、新型コロナのパンデミック(世界的流行)により今年の域内総生産(GDP)は最大15%縮小する恐れがあるとした上で、景気回復における財政的な問題に確実に対応できるよう、強力かつ柔軟な基金を迅速に設立するよう要請した