アメリカのトランプ大統領は新型コロナウイルスに感染した患者への治療方法をめぐって「消毒液を注射してみてはどうか」などと発言し、これに対し医師や専門家からは「危険だ」として批判する声が相次ぎ、波紋を呼んでいます。
トランプ大統領は23日の記者会見で新型コロナウイルスに感染した患者への治療方法をめぐって「紫外線か非常に強い光を体内にあててみてはどうか。また、消毒液はあっという間にウイルスに効くようだ。注射したりできないものだろうか。興味深いと思う」と述べました。
この発言に対し、医師や専門家からは消毒液の注射は体の機能に深刻な悪影響を及ぼすおそれがあり危険だとして批判する声が相次いでいます。また、消毒液を製造するメーカーも消毒液を注射したり、摂取したりしないよう呼びかけるなど波紋を呼んでいます。
この発言についてトランプ大統領は翌日の24日、ホワイトハウスで記者団から問われると「あなたのような記者に対して、皮肉を込めて質問しただけだ」と釈明しました。
トランプ大統領は新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、国民に説明するためとしてほぼ毎日、記者会見に臨んでいて政権の対応について多岐にわたる質問にこたえ、会見が2時間を超えることも少なくありません。
ただ、24日の記者会見では「消毒液の注射」には言及しなかったほか質問も受け付けず、会見は20分ほどで打ち切られました。
保健当局「どんな状況でもあってはならない」
トランプ大統領が新型コロナウイルスの治療法として消毒液の注射に言及したことについて、アメリカでは各地で問い合わせが相次いでいます。
このうち東部メリーランド州では緊急通報用の電話番号に100件以上の問い合わせが寄せられたということで、州の保健当局はツイッター上に「消毒に関連した製品が注射などの方法で体内に投与されることは、どんな状況でもあってはならない」として注意を呼びかけています。
また、発言について野党・民主党のバイデン前副大統領は、ツイッター上に「アメリカ国民の健康をジョークのネタにすべきではない」と投稿し、トランプ大統領の発言を批判しています。