新型コロナウイルスへの対応をめぐり、世界保健機関(WHO)の緊急対応責任者マイク・ライアン氏は29日の記者会見で、多くの人が自然に感染して免疫を獲得する「集団免疫」への期待に、慎重な見方を示した。厳しい社会規制を敷かなかったスウェーデンなどでの研究の結果を待ちたいとした。
スウェーデンのようにロックダウン(都市封鎖)を伴う厳しい規制を敷かなかった国では、免疫を持つ人が多くなって感染の第2波を防ぎやすくなるかを問われ、ライアン氏は、現時点での傾向として「感染が大きく広がったところでも免疫を持つ人の割合は低い」と回答。「大部分の人は感染しやすいことを意味し、ウイルスの勢いが盛り返す可能性は高いことになる」と述べた。
一方、スウェーデンも人と人の距離を保つ政策を実践しており、決して感染が広がるように仕向けているわけではないと強調した。
また、WHOのテドロス・アダノム事務局長は新型コロナウイルスの治療法やワクチン開発へWHOが主導する国際協力では、「開発の加速と(途上国で)誰もが入手しやすくするという二つの目標がある」と表明。欧州連合(EU)が中心となり、5月4日に資金集めの会合を開くことを明らかにした。(ジュネーブ=吉武祐)