[14日 ロイター] – 米フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁は14日、新型コロナウイルス流行が米国で発生してから数カ月が経過したが、米経済は依然として危機から抜け出せておらず、米当局者は困窮している中小企業への支援を拡大する措置を行う必要があると述べた。 

中小企業に関するオンラインイベント向けの準備原稿で「確かに米経済は断続的に再開しているが、パンデミック(世界的大不況)の影響は一時的な景気後退にとどまらないことを示している。われわれは不況下にあり、これは並外れた苦痛を伴って執拗に長期化する」と語った。 

また、中小企業支援策「給与保護プログラム(PPP)」は多くの企業にとって「計り知れないほどの支援」になったものの、新型コロナで大きな打撃を受けた地域の企業にとっては不十分と指摘。例えば新型コロナの影響が小さかったネブラスカ州は、影響が大きかったニューヨーク州やニュージャージー州、ペンシルベニア州などよりも、PPPによる融資の割合が多いとした。 

ハーカー総裁は、新型コロナ影響が大きかった地域の零細企業の多くは、これまで銀行との関係を持たなかったため、PPPの申請が難しくなっていると言及。「少数民族や有色人種のコミュニティーに偏って影響している」と述べた。 

フィラデルフィア連銀の調査によると、パンデミックの影響で失職した中小企業の従業員は、少数民族や有色人種に偏っており、若年層や教育水準が高くない人々である可能性が高いという。 

米全土での新型コロナウイルス感染者の急増については、強制的な事業閉鎖という経済への直接的な影響と、消費者信頼感に与える心理的な影響の双方が懸念されるとした。