[ワシントン 31日 ロイター] – 米商務省が31日発表した6月の個人消費支出(季節調整済み)は前月比5.6%増と、2カ月連続で伸びた。第3・四半期に個人消費が持ち直す前兆となった。ただ新型コロナウイルスの感染件数が再び増えているほか、失業手当の上乗せ措置が終わる中、限定的な回復となる可能性がある。市場予想は5.5%増だった。
個人消費は米経済の3分の2以上を占める。5月の個人消費は、事業が再開する中で8.5%増と、過去最大の伸びを記録していた。
オックスフォード・エコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、グレゴリー・ダコ氏は「6月の個人消費で回復の初期段階での力強い動きが確認されたが、過去の数値を見ていると崖から落ちかねない」と指摘。「低所得者層の消費は、強力な財政支援策により、新型コロナ危機前の水準までほぼ回復しているが、多くの支援策が期限切れとなり、危機対応の誤りがサービス支出を抑制しているため、一段の回復には時間がかかるだろう」と述べた。
6月は衣料・靴が増加した。ヘルスケアや外食、宿泊も増えた。ただ、新型コロナ流行に伴う警戒心により、サービス業への支出は低調だった。
6月の個人消費は30日に発表された第2・四半期国内総生産(GDP)速報値の計算に含まれた。第2・四半期GDPは年率で前期比32.9%減だった。個人消費が34.6%減と過去最大の落ち込みとなり、GDPの重しとなった。
インフレ調整後の個人消費は5.2%増。5月は8.4%増だった。
6月の増加により、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)前の水準は依然下回るものの、4月の大幅な落ち込みから持ち直した。第3・四半期は個人消費が成長軌道に乗る兆しを示す。
ただ、人口が多い南部や西部などの地域では、新型コロナの感染数急増に伴い、営業の再停止や経済活動再開の中止が相次いでおり、第3・四半期の個人消費の力強い持ち直しに懐疑的な見方も出ている。
さらに、数千万人の失業者が来月から週600ドルの上乗せ手当てを受け取れなくなる見通し。失業者は上乗せされた手当てを家賃や食品、その他に充てていた。
6月の個人消費は、モノが6.4%増加し全体水準を押し上げた。サービスは5.2%増だった。
個人所得は1.1%減。5月は4.4%減少していた。政府の支援が少なくなったことを反映する。賃金は2.2%増。5月は2.6%増加していた。貯蓄率は19.0%と、5月の24.2%から低下したものの、依然として高水準だ。
物価は6月にやや加速。食品やエネルギー、サービスが値上がりした。ただ、基調的な物価上昇率は抑制されたままだ。個人消費支出(PCE)価格指数は、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が前月比0.2%上昇。5月も0.2%上昇していた。前年同月比では0.9%上昇。5月は1.0%上昇していた。
ネーションワイドのチーフエコノミスト、デビッド・バーソン氏は「これで米連邦準備理事会(FRB)はインフレの影響を受けることなく、望み通りに刺激策を実施できるだろう」と述べた。