[ロンドン 31日 ロイター] – 英国のジョンソン首相は31日、新型コロナウイルス感染が再拡大し、感染第2波の発生が懸念される中、イングランドで抑制策の緩和を停止すると発表した。
発表の数時間前、政府はイングランド北部のロックダウン(封鎖)を強化する方針を示していた。
ジョンソン首相によると、8月1日付で営業を再開する予定だったカジノ、ボーリング場、スケートリンクの再開は少なくとも2週間延期されるほか、結婚式・披露宴の開催も禁止される。
首相は記者団に対し、感染拡大第2波の「赤信号が灯っている」とし、「新型ウイルスを引き続き制御するために、ブレーキペダルを踏む必要があると判断した」と述べた。
その上で「こうした措置で多くの人が打撃を受けることは承知しており、心から申し訳なく思っている。ただ、リスクを冒すことはできない」と語った。
英国の専門家は、1人の感染者が何人に感染させるかを示す「再生産数」が1を下回っていると、もはや確信できないと指摘。英ブリストル大学の統計科学専門家、ダニエル・ローソン氏は「欧州の状況を踏まえ、感染者数の増加を深刻に受け止める必要がある。対応が後手に回るとロックダウンが長引くだけでなく、死者も増加する」と述べた。
ジョンソン首相とともに記者会見に臨んだクリス・ウィッティー・イングランド主席医務官(CMO)は、「経済活動再開に向けできることの限界に達したもようだ」と述べた。
英国で30日に確認された新型コロナウイルスの新規感染者数は846人と、1日としては6月28日以降で最多を記録。
政府が示したイングランド北部のロックダウン強化方針の下で、グレーター・マンチェスターのほか、ウェスト・ヨークシャー、イースト・ランカシャーの一部地域の住民約400万人に対し、他の家族との交流が禁止される。パブに行くことや出勤は認められる。
ハンコック保健相はスカイに「このウイルスの問題は、生きがいのある人生をもたらしてくれる社会的な接触で増殖することだ」と発言。
英国で感染第2波が起きているのかとのBBCの質問には「まだ起きていない。必要な措置を断固として講じる決意だ」と述べた。
31日からはイスラム教の祝日「イードアルアドハー」が始まる。
対象地域の住民は、自宅、庭、パブ、レストラン、カフェ、店舗、崇拝の場、娯楽施設で他の家族と交流することを禁止される。家族とパブに行ったり、教会やモスクに行くことは認められる。違反者には100ポンドの罰金を科す。