先週の米新規失業保険申請件数は、前週比で減少。その前の週は予想外に増加していた。今回減少に転じたことで、新型コロナウイルスの感染拡大がやや落ち着きを見せる中で、労働市場が緩やかな回復を再開したことが示唆された。
キーポイント | |
・新規失業保険申請件数(22日終了週)は、通常の州プログラム下で前週比9万8000件減の101万件 ・ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は100万件 ・州プログラム下での失業保険継続受給者数は、15日終了週に1450万人に減少も、なお極めて高水準 |
今回の統計は新型コロナの感染拡大が落ち着く中で、労働市場の緩やかな回復が続いていることを示唆している。来週発表される8月の非農業部門雇用者数は160万人増が見込まれている。ただ失業保険の申請件数は、なおパンデミック(世界的大流行)前の水準をはるかに大きく上回っている。企業に対する連邦政府の支援が枯渇しつつあり、企業・個人への支援延長に向けた議会の取り組みが進んでいないなど、さらなる回復へのリスクが存在する。
連邦政府のパンデミック失業支援(PUA)プログラムに基づく新規失業保険申請は、22日終了週に60万7806件。前週から約8万3000件増加した。PUAは自営業者や単発の仕事を請け負うギグワーカーなど、各州が設けている通常の失業保険では対象外となる労働者にも適用される。
また最近の継続受給者数の減少は、通常の州プログラム下での給付期間が終了し、連邦政府の延長プログラムに移行した失業者がいることを意味する可能性もある。パンデミック緊急失業補償(PEUC)プログラムの受給者は、8日終了週に前週比で約11万9000人増加した。PEUCは通常の失業保険給付の期間が終了した人に対し、最長13週にわたり給付を延長する連邦政府のプログラム。
ドイツ銀行のシニア米国エコノミスト、ブレット・ライアン氏は「州の失業保険給付が終了し、連邦政府のプログラムに移行している兆候が見られる」とし、「これは労働市場の見通しが厳しいことを示している」と語った。
パンデミックが始まって以降、失業保険申請の急激な増加により労働省では通常の季節調整プロセスに大きな混乱が生じている。同省はこの日の統計発表で、「季節による変動をより正確に捉え、修正幅が小さくなる」よう、来週から調整プロセスを変更すると説明した。
統計の詳細は表をご覧ください。
原題:U.S. Jobless Claims Resume Decline But Report Comes With Caveats(抜粋)