「ポスト安倍」の4人。写真左から河野太郎防衛相、岸田文雄自民党政調会長、菅義偉官房長官、石破茂自民党元幹事長
「ポスト安倍」の4人。写真左から河野太郎防衛相、岸田文雄自民党政調会長、菅義偉官房長官、石破茂自民党元幹事長

 安倍晋三首相の後継を選ぶ自民党総裁選に向け、菅義偉官房長官(71)が出馬する意向を固め、二階俊博幹事長に伝えた。同党が総裁選の日程や段取りを決定する9月1日以降に正式表明する。党幹部が30日明らかにした。二階派(47人)が支持する方針で、他の主要派閥にも追随する動きがあり、選挙戦は菅氏を軸に展開しそうだ。岸田文雄政調会長(63)も立候補を明言した。

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 菅氏は二階氏と29日に東京都内で会談、出馬の考えを示した。竹下派(54人)は幹部が菅氏支持で既に動いており、麻生派(54人)も会長の麻生太郎副総理兼財務相が菅氏支持をにじませている。最大派閥の細田派(98人)は、同派出身の首相が「菅氏が望ましい」との立場を関係者に漏らしている。菅氏に近い議員グループ(約20人)は31日に会合を開き、菅氏支援を確認する。

 自民党は9月1日の総務会で、党大会に代わる両院議員総会を開いて国会議員と都道府県連代表の投票により新総裁を選出することを決める見通し。7日か8日に告示、14日投開票とする日程が有力だ。16日までに主な党役員の人事を終え、17日に臨時国会を召集、同日中に衆参両院本会議で首相指名選挙を行う方向で調整に入った。

 一方、石破茂元幹事長(63)は30日、出馬するかは党員投票の有無を見極めて判断する考えを示した。大津市で講演し、「国会議員のための自民党ではない」として党員参加を重ねて要求。この後、記者団から不出馬の可能性について問われ、「今、言及はしない」と述べるにとどめた。

 石破氏は過去の総裁選で党員からまとまった支持を得ており、党員投票が行われなければ不利になる。石破派(19人)が夜に開いた会合では出馬見送り論も出て、対応を石破氏に一任した。

 岸田氏は夜のフジテレビ番組で、党員投票の有無にかかわらず出馬するか尋ねられ、「はい。挑戦する立場からは、ルールがどうであってもしっかり受け入れなければならない」と述べた。

 岸田派(47人)は幹部会で選挙対策本部の設置を決定した。ただ、岸田氏は首相の支援を期待してきた経緯があり、首相が菅氏支持に傾いていることで戦略の見直しを迫られそうだ。

 河野太郎防衛相(57)は党員投票を実施すべきだとの立場を記者団に示し、「どういう選び方になるかも見ながら皆さんと相談して決めていきたい」と語った。2018年の前回総裁選で石破氏に投票した小泉進次郎環境相は自身の立候補を否定し、「河野氏が出るなら河野氏を応援する」と記者団に表明した。

 細田派は幹部会を開き、対応を細田博之会長に一任すると決定。出馬の意欲を示す下村博文選対委員長も会長の判断に従う考えを示した。