[ワシントン 2日 ロイター] – 米国土安全保障省(DHS)は2日、ロシアが米大統領選挙の民主党候補バイデン前副大統領が精神的に不安定との情報を拡散させようとしていると警告する報告書を公表しなかったことについて、必要な文脈と証拠が欠けていると判断したことが理由だったと説明した。
米ABCニュースによると、問題となった報告書は「ロシアが2020年の米国の選挙に影響を及ぼすために候補者の健康問題を中傷する恐れ」と題されたもので、7月7日に国土安全保障省の広報部に提出された。
国土安全保障省のウォルトーニスト報道官は、同報告書には文脈と証拠が欠けていたため、公表を控えたと説明。ウルフ長官代行がこの件に関する質問を行ったことを受け、省幹部は報告書の公表を先送りすることを決めたと述べた。
報告書は、ロシアの国営メディアの「RT」と「スプートニク」のほか、ロシアのプロキシ・ウェブサイトが、2019年9月から20年5月にかけて、「大統領選の候補者であるバイデン氏の精神衛生面での問題」の疑惑を巡る情報を掲載していたと指摘。プロキシ・ウェブサイトには、バイデン氏の言い間違いは認知症の症状であり、米メディアが報じているように吃音ではないとの情報が掲載されていたとしている。
報告書はこのほか、イランと中国のメディアが共和党候補のトランプ大統領の精神的な健全性を疑問視する文書を公表したとも指摘している。
トランプ氏は74歳。バイデン氏は77歳。バイデン氏は幼少時から吃音に悩まされてきたと明らかにしている。