厚生労働省は、新型コロナウイルスの感染の有無を調べる検査について、患者が自分でも採取できる鼻の入り口付近の粘液を使う方式を認める方向で検討に入った。従来の方法より簡単で、医師らの感染リスクも軽減できると期待される。25日に開かれる厚生科学審議会の部会での議論を踏まえ、来月にも導入したい考えだ。
新型コロナの検査はこれまで、鼻の奥の粘液か唾液を使うのが基本だった。ただ、鼻の奥の粘液は医師らが採取する必要があり、患者のくしゃみでしぶきを浴びて感染する恐れがあるため、防護具の着用など作業に手間がかかる。また、唾液は必要量を採取するのに時間がかかるうえ、30分程度で判定できる抗原検査の簡易キットが使えない課題がある。
一方、鼻の入り口付近の粘液は患者本人が綿棒で採ることができ、欧米でも広く利用されている。
厚労省研究班は、新型コロナの患者らの鼻の入り口付近の粘液を使い、PCR検査や抗原検査(簡易キット)などを行った。いずれの検査も、鼻の奥の粘液を使った場合とほぼ同じ結果が得られた。厚労省は、症状のある人の検査に使うことを目指している。
秋以降、インフルエンザとの同時流行で発熱患者が増えると想定される中、厚労省は、かかりつけ医がまず診療や検査にあたる体制作りを進めている。新方式の導入で、地域の医療機関でスムーズに検査を受けられるようにする。