政府は30日、令和3年度予算編成の概算要求を締め切り、一般会計の要求総額は105兆円規模となったもようだ。厚生労働省や防衛省の要求額は過去最大を更新した。別枠で要求できる新型コロナウイルス対策費を中心に現時点では金額を示さない「事項要求」が相次いでおり、年末に決まる予算案の歳出総額は2年度当初予算(102兆6580億円)を上回り過去最大となる可能性が高い。
アベノミクスの継承を掲げる菅(すが)義(よし)偉(ひで)内閣が誕生して初の予算編成となり、概算要求の総額は7年連続で100兆円の大台を超えた。
省庁別で最大の要求額となったのは厚生労働省の32兆9895億円。コロナ対策は検査体制の強化に向けた「地域外来・検査センター」の機能拡充など、多くが事項要求となった。
菅首相の肝いりの施策でもある行政のデジタル化を所管する総務省の要求額は、自治体に配る地方交付税を含め16兆8263億円。行政手続きのオンライン化や、マイナンバーカードの普及が盛り込まれた。
各地で大規模な水害被害が相次ぐ中で、国土交通省は自然災害への対応を事項要求で盛り込んだ。東京五輪・パラリンピックでの感染症対策も要求し総額では5兆9617億円とした。
少子高齢化による社会保障費拡大に伴い、国の借金の元本返済と利払いのための国債費は2年度当初予算と比べ9・2%増の25兆4934億円に上る見込み。
財務省は7月、3年度予算の要求額は基本的に2年度予算と同額との基準を示した上で、コロナ対策などの「緊要な経費」は上限のない別枠で計上を認める方針を公表した。従来は要求段階で示してきた高齢化に連動する社会保障費の伸び(自然増)なども予算査定の過程で検討するとした。
概算要求は、各省庁が翌年度に実施したい政策の経費や人件費の見積額を財務省に要求するもの。例年は8月末に締め切るが、今年はコロナの影響で準備作業が遅れたため期限を1カ月延長した。予算案を12月下旬に閣議決定する日程は維持する方針で、編成作業は例年に比べ短期間になる。