【モスクワ時事】アゼルバイジャンとアルメニアの係争地ナゴルノカラバフをめぐる軍事衝突で、双方の停戦が現地時間10日正午(日本時間同日午後5時)、発効した。捕虜交換や遺体の引き渡しを目的としており、その後も停戦状態を保てるかが焦点となる。停戦発効後も、双方は互いに攻撃があったと非難の応酬を続けた。
モスクワでは9日からロシアのラブロフ外相が仲介する形で、アゼルバイジャンのバイラモフ外相とアルメニアのムナツァカニャン外相が衝突後初めて直接協議。10時間以上に及んだ協議の末、停戦で合意した。
停戦が維持できるかは予断を許さない。10日未明に発表された3カ国外相の共同声明は「停戦条件の具体的事項は追加的に合意される」とした。ナゴルノカラバフの帰属問題も含め、詳細は先送りされた。
共同声明によれば、双方は、米仏ロが共同議長を務める欧州安保協力機構(OSCE)ミンスクグループの仲介の下、「平和的解決を早期に達成するための実質的な協議に入る」ことでも一致。アゼルバイジャンは後ろ盾のトルコを共同議長に加えるよう求めていたが、退けられた形となった。トルコが反発して干渉を強めれば、停戦が崩壊する恐れがある。
軍事衝突は9月27日に始まった。アルメニア系住民が30年近くナゴルノカラバフを実効支配することに不満を強めたアゼルバイジャンが、友好国トルコの支持を受けて攻勢を強化。アゼルバイジャンのアリエフ大統領は9日の国民向け演説で、アルメニア側に占領されていた複数の地域を奪還したとして「歴史的勝利だ」と主張した。
双方の死者は民間人を含む約450人に上り、1994年に米仏ロが仲介した停戦合意後、最大の衝突となった。