【シリコンバレー時事】米大統領選が11月に迫る中、交流サイト(SNS)大手の投稿制限に保守派が反発を強めている。前回選挙でロシアによる情報操作や偽ニュースの温床になったとして批判された主流SNSは、真偽不明の情報の管理を強化。しかし共和党側は、民主党寄りの「検閲」と問題視しており、政治的な対立がSNSを舞台に激化している。
【特集】トランプ再選の確率は? これだけは知っておきたい米大統領選
「なんてひどいんだ」。トランプ大統領は14日、民主党候補バイデン氏の息子ハンター氏をめぐる疑惑記事の転載を制限したツイッターとフェイスブックに怒りをぶちまけた。
米タブロイド紙ニューヨーク・ポストは14日、ハンター氏が副大統領だった父親をウクライナ企業顧問に引き合わせていたと報じた。ハンター氏らしき人物が修理業者に預けたまま回収に来なかったパソコンから間接的に証拠メールを入手したとしている。ただ、バイデン陣営は面会を否定しており、2015年に送ったとされるメールが本物という確証もない。
ツイッターは、メールアドレスなどの個人情報やハッキングされた情報の投稿はルール違反に当たるとして転載を制限。さらに、記事に基づきバイデン氏を攻撃する動画を投稿したトランプ選対のアカウントを一時凍結した。
共和党のクルーズ上院議員は「記事が本当かどうか知らないが、IT企業が政治的な言論を検閲し、選挙に干渉することはできない」と強調。ツイッターのドーシー最高経営責任者(CEO)を議会に召喚する方針を表明した。
ツイッターは16日、報道などで既に情報が広まったことを理由に転載制限を解除した。しかし、トランプ氏や共和党議員の間では以前から、主流SNSが保守派の言論を封殺しているという不満がくすぶっており、事態が収束に向かう兆しはない。
米世論調査機関ピュー・リサーチ・センターが15日発表した調査によると、ツイッターに頻繁に投稿する利用者の69%が民主党支持者で、共和党支持者は26%にとどまった。一方、保守派がツイッターやフェイスブックの投稿制限を嫌い、「言論の自由」を掲げる新興のSNS「パーラー」に集う動きも出ており、政治志向に基づくSNSの分断が進む可能性もある。