「米史上最高」と米国内総生産(GDP)がトランプ陣営の選挙広告で絶賛されたのは、統計発表の3日前。実際に発表されたGDPは、確かに前期比年率で統計上最高の成長率でしたが、依然としてパンデミック(ウイルス感染の世界的大流行)前のピークからは3.5%の縮小です。このところの感染急拡大や政府支援打ち切りで、すでに回復は失速している可能性があります。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
遅行指数
7-9月(第3四半期)の米GDPは前期比年率で過去最大の33.1%増加。4-6月の落ち込みも統計上最大だった。専門家らは今後数カ月、経済の伸びはずっと緩やかで不安定なものになると予想。雇用者数もパンデミック前水準をなお1100万人ほど下回っている。JPモルガン・チェースのマイケル・フェロリ氏は「米経済は既に活動を再開しているだけでなく、部分的に再停止する可能性があるという状況だ」と指摘した。
いざ年末商戦へ
オンライン小売り最大手アマゾン・ドット・コムが明らかにした10ー12月(第4四半期)の売上高予想は、最大1210億ドルとアナリスト予想を上回った。アップルが発表した7-9月期決算は1株当たり利益と売上高がいずれも市場予想を上回ったものの、iPhone(アイフォーン)の売上高が予想に届かなかった。
確定事項
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、12月の政策委員会で新たな金融緩和で合意することは「ほぼ疑いない」と言明した。ECBは今回の会合で政策据え置きを決めた。総裁は「ユーロ圏の景気回復は予想以上に急速に勢いを失いつつある」と指摘。12月まで待たずに「緊急に会合を開く必要が生じれば、そうするだろう」とも語った。
ボラティリティーの犠牲
クレディ・スイス・グループは代替資産投資事業で複数のファンドを閉鎖し、従業員を削減する。クオンツファンドの一つを閉鎖するとともに、米不動産ファンドで2400万スイス・フラン(約27億4000万円)の損失を計上する。デービッド・マザーズ最高財務責任者(CFO)がインタビューで明らかにした。ファンド名や人員削減規模の詳細についてはコメントを控えた。
転ばぬ先の
ローン担保証券(CLO)を組成する資産運用会社は、ローン債権が不良化した場合により多くの資金を回収できるよう、新しいCLOには「ワークアウト(整理)」や「ロス・ミティゲーション(損失軽減)」などの追加条項を設けている。デフォルト(債務不履行)後もCLOマネジャーがファイナンスに関与する柔軟性を確保するものだという。一方、既存のCLOでは、投資家の同意を得る必要があるため条件変更は進んでいない。
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