【ロンドン=広瀬誠】開発が加速する新型コロナウイルスのワクチンについて、4人に1人がワクチン接種を望んでいないことが、スイスの民間機関「世界経済フォーラム(WEF)」などの調査で分かった。副作用への懸念などが背景にあり、普及に向けて各国はアピールが必要になりそうだ。
WEFと調査会社イプソスが10月、主要15か国の計1万8000人超を対象にオンライン調査を行った。11月上旬に発表された結果によると、ワクチン接種について「同意する」が73%、「同意しない」が27%だった。同意しない理由は「副作用への懸念」が34%、「臨床試験の進行が速すぎる」が33%、「効果が期待できない」が10%だった。
「同意」の割合は、8月の調査時と比べて4ポイント低下した。在英ジャーナリストのソニア・ポールトンさん(56)は「急ピッチでのワクチン開発により、安全性や効果への不安が広がった」と分析した。
10月調査の結果を国別に見ると、インドや中国で9割近くが接種に同意した。一方、日本は副作用の懸念から69%だった。フランスは54%で最も低かった。過去の薬事スキャンダルなどから、ワクチンへの抵抗感が強いとみられる。69%だったドイツでは、極右勢力が反ワクチンや反社会規制を掲げており、デモなどの過激化が懸念されている。
WEFは「人々が接種しなければワクチンは機能しない。政府や企業は協力し、次のステップに向けて信頼を得ることが重要だ」と指摘した。