【パリ時事】新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて2度目の外出制限を実施中の欧州で、規制緩和の動きが出ている。フランスは12月15日に全土で、英国も同月2日にイングランド全土で終日の外出制限を解除予定。「クリスマスを家族と過ごせるように」(マクロン仏大統領)との配慮だが、時期尚早と懸念する声も上がる。
キリスト教徒が多い欧州では、クリスマスは日本の正月と同様、家族が集まる1年で最も重要な祝日だ。一方、大みそかは1年の終わりと新年の始まりを祝い、友人同士で夜通しパーティーに興じる人が多い。春に続く外出制限で人々のストレスはピークに達しつつあり、制限解除を求める声が各地で上がっていた。
仏政府は1日当たりの新規感染者数が5000人以下との条件で、12月15日に移動制限を解除した後、午後9時以降の夜間外出禁止令を導入する。ただ、クリスマスイブと大みそかは特例として制限を免除。全土で多くの人の動きが予想される。
地方自治体の権限が強いスペインでは全土での移動制限が実施されておらず、一部地域では既に飲食店の営業が再開された。中央政府はクリスマスの家族での集まりを原則6人以内と定めているが、一部自治州は従わない意向を表明している。
欧州連合(EU)欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、加盟国のこうした動きに「夏の失敗から学ぶ必要がある」と警告。「急速かつ過度な制限緩和は、クリスマス後の第3波の危険性を高める」と懸念を表明した。