[東京 4日 ロイター] – 菅義偉首相は4日夕に会見し、来週決定する経済対策に、脱炭素社会の実現に向け2兆円のグリーン基金を盛り込む方針であることを明らかにした。もう1つの看板政策であるデジタル化の推進には関連予算1兆円を確保する。菅首相は「我が国に必要なのはポストコロナにおける成長の源泉。その軸となるのがグリーン、デジタルだ」と語った。
菅首相は臨時国会が事実上閉会したことを受けて会見し、足元で感染拡大が深刻化する新型コロナウイルスについて、「極めて警戒すべき状況」とした上で、時短営業に応じた飲食店などに対し、政府として支援する考えを強調した。地方創生臨時交付金を1.5兆円積み増す。また、雇用調整助成金などを延長するほか、予備費活用を来週決定し、低所得の1人親世帯に5万円ずつ年内に支給する方針も明らかにした。
「何が起きても対応できるよう十分な額の予備費を確保する」と述べ、「現在の厳しい状況を何とか乗り越えて頂き、経済回復の足掛かりとしたい」とした。
デジタル庁、携帯料金値下げと並ぶ政策の柱である不妊治療の保険適用については「2022年度にスタートしたい」と述べた。
<GoToトラベル、必要な見直し迅速に>
感染拡大の一因との批判もある観光需要策GoToトラベル事業に関し、感染症分科会の提言を受けて運用の見直しを実施していると説明したうえで、今後も「政府として必要な見直しは迅速に行いたい」とした。同時に、同事業は全国900万人の観光従事者を通じて地域を支えているとの従来説明を繰り返した。
来週にも英国で接種が始まる新型コロナワクチンの日本での対応については、安全性と有効性を確認することが前提とした上で、自身も「順番が回ってきたら接種したい」と述べた。
<解散時期、よくよく考えたい>
「桜を見る会」を巡る官房長時代の発言は「必要があれば安倍晋三前首相に確認しながら答弁を行った」と説明した。一部報道によると、東京地検特捜部は前夜祭を巡り、政治資金規正法違反の罪で安倍前首相の公設第1秘書を略式起訴することを検討。安倍氏本人にも任意聴取の要請があったと伝えられている。
公明党が結論先延ばしを求めるなど、与党内でも異論のある後期高齢者の医療費窓口負担引き上げについては「安心安全の社会保障制度に必要」として理解を求めた。
外交では「日米同盟が基軸」としてさらなる強化を進めるとし、バイデン次期米大統領と自由で開かれたインド太平洋の実現を進めると強調した。訪米時期は「感染状況などを踏まえ、しかるべきタイミングで調整したい」と述べた。
衆院解散は「時間的制約もあるのでよくよく考えていきたい」と語った。