【ワシントン時事】次期米大統領を正式に選出する手続きの14日の選挙人投票は、結果を覆そうとした共和党のトランプ大統領の完敗に終わった。選挙不正の捜査では「忠臣」のバー司法長官の協力も得られず、同長官は辞任を表明。来年1月20日のバイデン次期大統領の就任を阻止する手段はついえようとしている。

バー司法長官の退任発表 大統領選めぐり関係悪化―米大統領

 この日トランプ氏とバイデン氏が獲得した選挙人は、それぞれ232人と306人で、11月の投票結果で予想された通り。バイデン氏は演説で「民主主義の強さが証明された」と勝利を宣言した。トランプ氏は「不正」を証明しようと訴訟を乱発したが、1州も結果を覆せなかった。

 日を追うごとに逆転の目が消える中、トランプ氏が負けを認める気配はない。14日も、選挙に関する新聞記事をツイッターで引用し「すごい。大がかりな不正だ」などと投稿した。

 闘いを続けること自体が目的になっている可能性もある。米メディア「アクシオス」は、バイデン氏が就任式を行う1月20日、トランプ氏がホワイトハウスを去って専用機でフロリダ州に飛び、政治集会で2024年大統領選への出馬を表明することを検討していると報じた。就任式には退任する大統領が同席する慣例があり、平和的な政権移行は絶望的になる。

 バイデン氏が過半数の選挙人を獲得した数分後、トランプ氏はツイッターでバー氏の辞任を明らかにした。バー氏はロシア疑惑の捜査報告書に関してトランプ氏を利する解釈を一方的に発表するなど、強い忠誠心で知られた。だが選挙不正に関しては、「結果を覆す規模の不正の証拠は見つかっていない」と語るなど、距離を置いていた。

 ワシントン・ポスト紙によると、バー氏の辞任は「解任」ではなく、トランプ氏との合意の上で自ら退いたという。バー氏としても、トランプ氏に同調して選挙不正を訴えれば、「法律家としての今後に傷が付きかねない」という判断もあったとみられる。