[ブリュッセル 15日 ロイター] – 欧州連合(EU)は15日、アマゾン・ドット・コム、アップル、フェイスブック、グーグルなどの米大手IT企業の影響力抑制などを目的としたデジタル規制法案を公表した。違反には年間売上高の最大10%の罰金や企業分割などの制裁が科される可能性がある。

世界各国の規制当局はプライバシーや誤情報を巡る一連の不祥事を受けて、巨大ハイテク企業とその影響力に対する監視を強化している。

欧州委員会のブルトン委員(域内市場担当)とベステアー委員(競争政策担当)は今回の新規制案について、反競争的な支配的企業の出現を防ぐための対策と捉えている。

法案の一つである「デジタル市場法」は、規則に違反した「ゲートキーパー(門番)」と呼ばれる大手プラットフォームに対して、世界全体の年間売上高の最大10%の罰金のほか、最終手段として分割を命じることを盛り込んだ。

また、ゲートキーパーの企業が競合企業やユーザー向けに公正な競争の場を提供するよう、違反に当たる行為などを明示したほか、ライバル企業をつぶすための買収を阻止するため、買収提案に関する報告も義務付けた。

もう一つの法案である「デジタルサービス法」は、利用者が4500万人を超える巨大オンラインプラットフォームを対象とし、違法コンテンツ対策のほか、基本的権利を侵害するサービスの違法利用、プラットフォームを意図的に操作して選挙や公衆衛生に影響を与える行為などの対策強化を義務付けている。

また、プラットフォーム上の政治広告の詳細や、情報の表示やランク付けにアルゴリズムが使用するデータを開示する必要がある。

これらの法案はEU各国と欧州議員の承認を得る必要があり、最終的な草案がまとまるのは数カ月から数年先になるとみられる。

新たな規制案について、米商工会議所のマイロン・ブリリアント上級副会頭は「欧州は域内経済成長と景気回復に大きな投資をしてきた成功企業に罰を与える考えのようだ」と批判。

欧州委のブルトン委員は、規制案が差別的だとする指摘を否定し、「欧州は誰でも歓迎する。われわれの責務は欧州に重要なものを守るための方向性やルールを提示することだ」と述べた。

一方、グーグルのカラン・バティア副社長(行政・公共政策担当)は、規制案により技術革新と成長が損なわれる恐れがあるとし、「これらの規制は特に一部の企業を標的にしているようで、欧州の中小企業を支援する新製品開発が難しくなることを懸念している」と語った。