中国のアリババグループとアント・グループを共同で創業した馬雲(ジャック・マー)氏が出演を続けていたテレビ番組の収録に参加しなかったことから、同氏の所在と両社に対する当局の調査結果を巡り臆測が広がっている。
中国当局がアントの350億ドル(約3兆6000億円)規模に上る新規株式公開(IPO)の中止を昨年11月上旬に決めて以降、馬氏は公の場に現れていない。IPO中止後数日のうちにフィンテック絡みの規制が強化され、アリババに対して独占禁止法に関連する調査が始まった。
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は今月1日、アフリカの起業家を応援する「アフリカのビジネスヒーロー」と題されたテレビ番組の制作側が馬氏を審査員から外し、同氏の写真も番組のウェブサイトから削除したと報じた。中国の金融業界は「質屋」のようなメンタリティーだと馬氏が批判的な発言をしたころの出来事だったという。この発言は今やよく知られるようになった。
ジャック・マー氏の影響力恐れた中国共産党-アントは危機モード
率直な物言いの馬氏は国際会議の常連だった。事情に詳しい関係者は先月上旬時点で、馬氏は国内にとどまるよう政府から求められていると話していた。アリババの広報担当者はスケジュールの都合で馬氏は会議などに出席できないと述べたが、同氏の所在についてのコメントは控えた。
原題:Jack Ma Skips Cherished TV Show After Beijing Tightens Screws(抜粋)