【ワシントン時事】バイデン次期米大統領の大統領選勝利を連邦議会が承認する6日の公式集計を控え、トランプ大統領が抵抗を強めている。米メディアによると、南部ジョージア州の州務長官(共和党)に対し結果を覆すのに十分な票を「見つける」よう威圧した。逆転の可能性はほぼないが、トランプ氏にどこまで忠誠を示すかをめぐり、共和党内では溝が生じている。
トランプ氏「1万1780票見つけろ」 米大統領選結果改ざん要求か
ワシントン・ポスト紙が3日報じた電話の音声によると、トランプ氏は2日、ラフェンスパーガー州務長官に「私が望むのは(同州勝利に必要な)1万1780票を見つけることだけだ」と暗に結果の改ざんを要求。これに関連し、米メディアは「ゲームオーバーが近づき、自暴自棄の度を強めている」とみる大統領周辺の声を伝えた。
約1時間の電話でトランプ氏は「死人が投票した」「1万8000の偽の票がそれぞれ3回集計された」などと繰り返し主張。だが、ラフェンスパーガー長官は「それは人々が何とでも言えるソーシャルメディア上の情報だ」などと反論し、屈しなかった。
トランプ氏が狙うのは6日の上下両院合同会議での混乱だ。12月の選挙人投票の結果を各州ごとに読み上げ、バイデン氏勝利を公式に確定する形式的な手続きで、異議を認めるには上下各院で過半数の賛成がなければならない。
これまで異議を表明したホーリー、クルーズ両上院議員は2024年大統領選の共和党の有力候補で、トランプ氏への「反旗」と取られる動きは避けている。トランプ氏の強い支持基盤を背景に、140人以上の共和党下院議員も異議申し立てに賛同する意向とされる。
一方、トランプ氏は、バイデン氏勝利を認めた共和党上院執行部を公然と批判。上下両院合同会議の進行役を務め、最後に「バイデン氏勝利」を宣言するペンス副大統領も、トランプ氏に忠誠を誓う立場上、厳しい状況を迎えている。