【シリコンバレー時事】短文投稿サイトを運営する米ツイッター社が、暴力を扇動する危険があるとして、サービスからトランプ大統領を追放した。大統領選後も敗北を認めず不正を訴えるトランプ氏に共鳴する支持者らが連邦議会へ乱入し、死者が出る事態に発展した6日の事件を重視。8日に約8800万人のフォロワーを擁する同氏のアカウントの永久停止という最も厳しい措置に踏み切った。
トランプ氏はこれより先、自身の支持者らを「偉大な愛国者」などと称賛。バイデン次期大統領の就任式に「出席するつもりはない」とも書き込んだ。ツイッター社は一連の投稿について「6日に発生した暴力行為を再現するよう人々を鼓舞する可能性が高い」と結論付けた。
交流サイト(SNS)最大手フェイスブックなどもトランプ氏のアカウントを無期限停止しており、同氏は主要なSNSから締め出された形。伝統的メディアを敵視し、メッセージ伝達の手段としてSNSを多用してきたトランプ氏にとって、政治的打撃となりそうだ。
SNS運営企業は、これまでもトランプ氏の扇動的な投稿への対応に苦慮してきた。ツイッター社は昨年5月、白人警官による黒人暴行死事件の抗議デモに関連し、実弾を使った暴徒鎮圧を示唆したトランプ氏の投稿に違反警告を初めて表示。大統領選の不正を主張する投稿にも警告や注意喚起を連発してきた。
ただ、公職者の言論には公益性があるとして、閲覧自体は原則許容し、トランプ氏が違反を自制する効果は限定的だった。ツイッター社はトランプ氏追放に当たり「公職者のアカウントもわれわれのルールを超越しているわけではないと何年も前に明確にした」と指摘した。
一方、保守派議員はかねて、SNS企業による投稿制限を「検閲」と批判しており、今回の措置が新たな火種となる可能性がある。
トランプ氏も「私を黙らせるために過激左翼と結託してアカウントを削除した。言論の自由の禁止に突き進んでいる」とツイッター社を非難。自身の投稿サイトを立ち上げる計画に言及した。