谷口崇子、中道敬

  • CO2削減状況などを投資家に定期的に報告、専門家5人も採用
  • 数十億円規模の環境ファンドを設立、将来的に1000億円規模へ拡大も

マネックスグループはESG(環境・社会・企業統治)金融事業に参入する。3月をめどに環境ファンドを組成予定で、オンライン専業証券としての蓄積を生かし、投資先をブロックチェーン(分散型台帳)などの最新技術を使って常時追跡する仕組みを構築。機関投資家が環境貢献を実感できることで差別化を狙うという。

  22日付の発表資料などによると、同社は日本の機関投資家向けに国内外の再生可能エネルギーのプロジェクトや環境関連のベンチャー企業などに投資する「マネックス・クライメイト・インパクトファンド」(仮称)を設定予定。当初規模は数十億円としている。

Orsted to Fight $1.1 Billion Danish Tax Bill for U.K. Wind Farms
Photographer: Matthew Lloyd/Bloomberg

  大きな特徴として掲げるのは、ブロックチェーンや人工知能(AI)などの技術を活用し、ファンド投資先の環境貢献を投資家に報告する仕組みだ

  マネクスGの松本大社長はインタビューで、「例えば欧州の風力発電事業に投資したとして、現場にセンサーを付けて稼働状況を計測し、ブロックチェーンを使ってどの程度二酸化炭素(CO2)削減に貢献しているか投資家に報告する」と説明。

  機関投資家から環境ファンドに投資したが、本当に環境貢献できているのかよく分からないという話を聞いたとして、「質の高いリポーティング(報告)を当社ファンドの特徴としていきたい」と意気込む。参入に当たり、元クレディ・アグリコルの石川隆道氏らESG金融の専門家5人を採用した。

  ESGブームが高まるにつれ、ファンドの環境貢献効果を装う「グリーンウォッシング」問題が投資家に意識されはじめている。シュローダー・グループの調査によると、年金や保険会社などの機関投資家にとって、ESGファンドへの継続投資の一番大きな障害となるのはグリーンウォッシング問題だという。

  今後のファンドの展開について松本社長は「環境貢献があり、利回りがあり、リポーティングもしっかりしていれば、次のファンドはどんどん大きくできる」と指摘。投資家に評価されれば、陣容を拡大して「1000億円ぐらいのファンドは実現可能だと思っている」と述べた。