厚生労働省は3日、新型コロナウイルス感染者と接触した可能性を知らせるスマートフォン用アプリ「COCOA(ココア)」について、グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」版で昨年9月下旬以降、接触があっても通知されない不具合が続いていたと発表した。アプリの利用者の3割が4か月間にわたり、機能が使えない状態になっていたことになる。同省は陳謝し、今月中旬の復旧を目指す方針を示した。
田村厚生労働相は同日夜、緊急で記者会見し「大変責任の重いことだと感じている。猛省し、信頼を取り戻すために頑張っていきたい」と頭を下げた。
厚労省によると、アプリは昨年6月に運用を開始。今月3日現在のダウンロード数は2464万件で、このうちアンドロイド版は約770万件(31%)に上る。
アプリは、検査で陽性と判明した利用者が保健所から発行された処理番号を登録すると、その人と過去14日間以内に「1メートル以内に15分以上」の接触があったアプリの利用者に、陽性者との接触があったことが通知される仕組みだ。
発表によると、昨年9月28日に同省の委託業者がアプリを改修した際に不具合が生じた。本来なら接触があったと判定されるべき人も、接触なしと誤って判断する設定になっていた。このため改修後のアプリを利用する人には接触通知が届いていなかった。
利用者から「感染した人と接触したはずなのに通知が来ていない」との指摘がSNSなどで相次ぎ、業者が今年1月に改めて確認し、不具合が判明した。
厚労省は業者に品質管理の徹底を指示するとともに、今後、アプリの動作検証を行う専門家を増員して再発防止を図る。
アップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)」版では、同様の不具合は起きていない。
ココアを巡っては、接触通知が来てアプリを開いても「接触は確認されませんでした」と表示されたり、検査で陽性となった人がうまく登録できなかったりする不具合がたびたび発生し、これまで計7回の改修を行っている。
厚労省のオンラインシステムでは、「雇用調整助成金」の申請でも、申請者の個人情報を他人が閲覧できる状態になるなど2度のトラブルが起きた。
◆COCOA(ココア)=新型コロナの感染拡大防止のため厚生労働省が昨年6月に導入したスマホ用の接触確認アプリ。水際対策で入国者にアプリのダウンロードを要請しているほか、飲食店やイベント会場でも利用を促している。これまでにアプリで感染したことを登録した人は1万人。名前は「COVID‐19 Contact Confirming Application」の略。