[ブリュッセル 9日 ロイター] – 米バイデン政権で気候変動対策の大統領特使に就任したジョン・ケリー元国務長官は9日、ブリュッセルの欧州連合(EU)本部を訪れ、11月にスコットランドのグラスゴーで開催される国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)で、環境問題に対応するための長期的な行動開始に弾みを付ける必要があると述べた。
ケリー氏は「グラスゴーでの会議は、(地球温暖化対策の国際的な枠組み)『パリ協定』の実現に向け世界が力を合わせるための絶好の機会になる」とし、「2020年代と30年代は行動を起こす時期になると科学者は提唱している」と述べた。
ケリー氏はこの日、欧州委員会のフランス・ティーマーマンス上級副委員長(気候変動対策担当)と、他の温暖化ガス排出国が排出削減に協力するよう、欧米がどのように協力できるかなどについて協議。共同声明で、米国とEUは気候変動対策での提携を新たにし、世界のパートナー国と取り組み強化に向け協力していくと確約した。
温暖化ガス排出量は米国が世界2位、EUが3位。EUは昨年12月、温暖化ガスの純排出量を2030年までに1990年水準から少なくとも55%削減することで合意した。米国は来月、排出削減目標を発表する。
一方、中国が先週発表した5カ年計画について、アナリストは温暖化ガス排出の増加につながると分析。インド、日本、ロシア、ブラジルに対しては一段の削減を確約するよう圧力が高まっている。