中国当局は、台湾産のパイナップルから害虫が検出されたとして、今月1日から輸入を停止しています。
これに対し、台湾当局は去年10月に対策を強化して以降害虫は検出されていないとして反発を強めています。
台湾産のパイナップルは輸出の9割以上が中国向けで、台湾の産地や業者は、中国以外の輸出先として日本に活路を見いだそうとしています。
9日から千葉市で開かれているアジア最大規模の食品見本市には、台湾の業者22社による専用のブースが設けられ、正面にパイナップルを並べてPRしています。
担当者は訪れたバイヤーに甘みの強さなどをアピールしていました。
日本の商社のバイヤーの女性は「ふだん取り引きしている台湾の人たちも困っている。これを機に台湾のパイナップルの買い入れを増やし、日本の消費者に届けたい」と話していました。
台湾当局によりますと、中国が輸入を停止して以来日本からの発注が増え、ことしの日本への輸出は去年の2倍以上のおよそ5000トンに上る見込みだということです。
会場を訪れた日本との窓口機関、台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表は「台湾を助けたいとの気持ちで多くの注文をいただき感謝したい」と話していました。パイナップルの産地の台湾南部は蔡英文総統の与党・民進党の支持者が多い地域であることから、台湾では、中国が蔡政権を追い込むために輸入停止の措置を取ったのではないかという見方が出ています。
こうした中、台湾では苦境に陥った産地や業者を助けるためパイナップルを買い支えようという動きが出ていて、台湾にある日本やアメリカの窓口機関もこれを後押ししています。
このうち、日本の窓口機関「日本台湾交流協会」は今月2日、泉裕泰代表が職員たちと台湾産のパイナップルを食べる写真とともに、そのおいしさを伝えるコメントを載せています。
蔡総統は翌日「台湾産パイナップルを応援してくださる日本の皆さん、ありがとうございます」とツイッターに日本語で書き込んでいます。
また、日本台湾交流協会は9日も「日本とアメリカの窓口機関に台湾南部からパイナップルが届きました」と投稿しました。
これに対し、アメリカの代表機関「アメリカ在台協会」もフェイスブックに、「日本の友人たちに送られたパイナップルが私たちにも届きました」と投稿していて、日本と連携して産地や業者を支援する姿勢を示しています。