【ハノイ=田中洋一郎】フィリピンのデルフィン・ロレンザーナ国防相は21日、パラワン島沖の南シナ海上に中国漁船約220隻が集結していることについて、「挑発的」だと非難した上で「すぐに侵入をやめ、船を戻すべきだ」と中国側に求める声明を発表した。
テオドロ・ロクシン外相も21日、自身のツイッターで、外交ルートを通じて中国に抗議したと明らかにした。フィリピン軍の広報担当者によると、軍は航空機や艦船を現場海域に向かわせ、警戒にあたるという。
現場海域は、中国やフィリピンなどが領有権を争うスプラトリー(南沙)諸島周辺で、フィリピンは自国の排他的経済水域(EEZ)内としている。漁船群は漁業活動を行っておらず、夜間には白色灯を点灯させて停泊しているといい、フィリピン政府は、民兵が乗船し、領有権を主張する行為を行っているとみている。
2019年にも、現場海域に近いフィリピンが実効支配する島の周辺に、中国船舶数百隻が集結した。