サマーズ元米財務長官は米国がこの40年間で「最も責任感の乏しい」マクロ経済政策に苦しめられていると警告し、「甚大な」リスクをつくり上げた責任は民主、共和両党にあると指摘した。
サマーズ氏はブルームバーグテレビジョンの「ウォールストリート・ウィーク」で発言。米連邦準備制度が緩和的な金融政策へのコミットメントを維持し、財政政策が積極的に緩められているさなかに新型コロナウイルス危機からの回復が需要圧力をかき立てることを踏まえると、「これまでたき付けられていたものが、今や燃え立っている」状態だと述べた。
同氏は「過去40年間で最も責任感の乏しい財政マクロ経済政策だ。根本的には、民主党左派の強硬姿勢と、共和党全体のかたくなで全く無責任な態度がもたらしている」と指摘した。
Seeing The Least Responsible Macroeconomic Policy in 40 Years: Summers
ブルームバーグテレビジョンの「ウォールストリート・ウィーク」で語るサマーズ元米財務長官
サマーズ氏は過去2つの民主党政権で経済の要職を務めたが、バイデン政権の1兆9000億ドル(約207兆円)の経済対策に対し、民主党寄りのエコノミストでは最も批判的な1人となっている。今回のインタビューでは、米国が「かなり劇的な財政・金融不調和」に直面していると指摘。向こう数年間でインフレが加速し、米国がスタグフレーションに陥る確率を3割強と予測した。
サマーズ氏は、米金融当局が急ブレーキをかけて経済をリセッションに向かわせることでインフレが起きない可能性と、財務省と金融当局がインフレなき急成長を実現する確率についても同程度と予想。「だが、マクロ経済政策が私の記憶にあるものより深刻なリスクを引き起こす危険が現時点ではより大きい」と語った。
一方、ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン氏は、同じブルームバーグテレビジョンの番組で、バイデン政権の追加経済対策の結果、1970年代のようにインフレが制御不可能な状態になる恐れはないとの見解を示した。
クルーグマン氏、1970年代型の狂乱物価のリスクない-金融当局を信頼
原題:Summers Sees ‘Least Responsible’ Fiscal Policy in 40 Years (1)(抜粋)