[ベルリン 30日 ロイター] – ドイツの保健当局者らは30日、英アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンについて、接種対象を60歳以上とすることで合意した。ただし、ハイリスク患者や医療従事者など優先接種対象者に関しては、60歳未満でも接種を受けられるようにする。

60歳未満ですでに1回目の接種を受けた人は、優先接種対象なら予定通り2回目の接種を受けられる。4月中に当局が公表する予定の追加勧告を待つこともできる。

これに先立ち、予防接種常設委員会(STIKO)は、ワクチン接種後、まれに重篤な脳血栓症の事例が報告されているとし、接種対象を60歳以上とするよう勧告していた。

アストラゼネカは声明で、患者の安全を最優先に考えているが、欧州や英国の医療機関はワクチン注射と血栓の因果関係を立証できていないと指摘。その上で「今後もドイツ当局と協力し、疑問点の解消に努めていく」と述べた。

独ワクチン規制当局であるポール・エーリッヒ研究所(PEI)によると、国内でアストラゼネカ製ワクチンを接種した270万人中、脳静脈洞血栓症(CSVT)の症例31例が報告され、9人が死亡した。2例を除き、全てが20─63歳の女性だった。

STIKOの提言に先立ち、ベルリンやブランデンブルクなどの複数州やミュンヘン市はアストラゼネカ製ワクチンの60歳未満への接種を停止すると発表していた。

カナダ保健当局も29日、アストラゼネカ製ワクチンの55歳未満への接種を中断すると発表した。