• 資本バッファーへの打撃、全容は依然不明-投資家はAT1債回避
  • 「債券が26日の水準に戻るのは困難」-アバディーンのフレーザー氏

スイスの銀行クレディ・スイス・グループが発行した最もリスクの高い債券が売られている。米ファミリーオフィス、アルケゴス・キャピタル・マネジメントを巡る危機で、同行の資本バッファーがどの程度の打撃を受けるのか全容が依然不透明なことが背景にある。

  偶発転換社債(CoCo債)あるいはAT1債(その他ティア1債)として知られる同行劣後債の一部は3月29日以降、額面価格1ドル当たり5セント超下落している。

  同社債がさらに著しく下落するのか、どの時点でバーゲンハンターを引きつけるほどの割安になるのかは「極めて難しい質問だ」と、アバディーン・スタンダード・インベストメンツで金融リサーチとクレジットの責任者を務めるアンドルー・フレーザー氏は指摘した。

  クレディ・スイスは29日、アルケゴス絡みで大きな損失に直面していると警告。事情に詳しい複数の関係者によれば、損失規模は数十億ドルに上る可能性がある。一方、JPモルガンのアナリストらはクレディ・スイスの損失が30億-40億ドル(約3300億-4400億円)に上りそうだとの一部報道について「実際に起こる可能性が低いとは言えない」との見解を示した。

  アバディーンのフレーザー氏は「結局は損失の規模に左右される」と指摘。「一部で懸念されているほど大きな数字にならなくても、債券が26日の水準に戻るのは困難で、リスク管理の怠慢を踏まえればセクター全体に対して割安価格で取引されるだろう」と述べた。

  クレディ・スイスの広報担当者にコメントを求めたが、返答は得られなかった。

原題:Credit Suisse Bondholders Left Guessing on Archegos Capital Hit(抜粋)