政府は13日午前、東京電力福島第1原発から出る放射性物質トリチウムを含む処理水への対応を話し合う関係閣僚会議を開き、処理水を海洋放出する方針を正式決定した。第1原発の廃炉作業を優先し、水産物などへの風評被害を懸念する漁業関係者らの反対を押し切った形だ。処理水の海洋放出は国内だけでなく、中国や韓国など周辺国の反発を招く可能性がある。
菅義偉首相は「基準を上回る安全性を確保し、政府を挙げて風評対策を徹底する」と述べた。
設備工事など2年程度の準備期間の後、放出を始める。政府は販路拡大の支援をはじめ風評被害対策に全力を挙げる構えだが、地元漁業者が東日本大震災の影響に苦しみながら本格操業に向け続けてきた努力を阻害しかねない。さらに、海洋放出が原因で農林水産物の出荷拡大の動きが滞れば、被災地にとって復興の足かせとなる。