- GDPは前年同期比18.3%増、予想18.5%増-前期比では伸び鈍化
- 景気回復なおまだら模様、金融政策の転換速まると予想せず-華興証
中国経済は1-3月(第1四半期)に急拡大した。新型コロナウイルス禍で昨年導入されたロックダウン(都市封鎖)による落ち込みから投資と輸出主導で持ち直していたが、小売売上高も3月に大きく増加。よりバランスが取れた回復を示唆している。
16日発表された1-3月の国内総生産(GDP)は前年同期比18.3%増と過去最大の伸び。ブルームバーグのエコノミスト予想中央値は18.5%増だった。
前年同期はコロナ感染拡大を抑え込むため経済活動が停滞を余儀なくされた影響でGDPが落ち込んでおり、統計にはゆがみが生じている。
3月の工業生産は前年同月比14.1%増。市場予想は18%増加だった。小売売上高は前年同月比34.2%増加。市場予想は28%増。1-3月の固定資産投資は前年同期比25.6%増えた。予想は同26%増だった。
中国経済は昨年1-3月の歴史的な縮小から着実に持ち直している。コロナ禍で中国製の医療機器や電子製品の需要が急増しており、中国の景気回復は堅調な工業生産と輸出が主導。個人消費は出遅れていたが、今回の指標はセンチメントの大幅改善を示唆している。
UBSの中国担当チーフエコノミスト、汪涛氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「中国経済の持ち直しはバランスがやや取れてきた」と指摘。金融・財政政策の正常化が始まる中で、今後数四半期に不動産やインフラ投資は鈍化する見通しだと分析した上で、「今後の回復は先行してきた建設業から家計消費へと移っていくだろう」と述べた。
中国経済の勢いをより反映している前期比で見ると、GDPは0.6%増と3.2%増へと上方修正された昨年10-12月から伸びが鈍った。汪氏はその主因として年初に確認されたコロナ新規感染やそれに伴う春節(旧正月)連休中の移動制限、追加の財政出動が乏しかった点を挙げた。
16日の中国株式市場ではCSI300指数が一時0.6%下落する場面もあった。
華興証券香港のマクロ・戦略調査責任者、龐溟氏は「中国経済は過熱から程遠い」と指摘。消費の改善は1、2月の移動制限に伴う繰り越し需要が一因で、景気回復はなおまだら模様だと語り、「消費者セクターに過熱を示す確固とした根拠はなく、金融政策の転換が速まるとは考えていない」と述べた。
原題:China’s Economy Soars by Record a Year After Pandemic Slump (2)(抜粋)