[ワシントン 11日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)当局者らは11日、4月の雇用統計が予想外に弱かったことを受け、引き続き米経済の回復に自信を示す一方、雇用の伸びは予想外に振れが大きくなる可能性もあると認めた。
ブレイナード理事は、景気回復が完全に軌道に乗るよう量的緩和の縮小を忍耐強く待つことの意義が雇用統計で浮き彫りになったと表明。「労働の需要と供給がともに改善に向かっているものの、それぞれが異なるペースで回復しており、食い違いが生じる可能性がある」と述べた。
さらに「新型コロナウイルスへの感染や公共交通機関の利用に対する懸念が根強いほか、学校の再開を待ち望んでいる親御さんも多い」中で、改善への動きは断続的な域にとどまっており、回復が一段と完全なものになるまで金利と資産買い入れを維持するというFRBの「忍耐強い」姿勢は正当化されると強調した。
また、資産価格の値上がりを理由にFRBが金融刺激策を制限した場合、雇用創出には逆効果になりかねないという考えを示した。
クリーブランド地区連銀のメスター総裁は、利用可能な託児所の不足や学校の閉鎖、公衆衛生リスクへの懸念が労働供給を圧迫しており、4月の雇用の伸びを抑えたと分析。「失業給付の延長により、人々に経済的に余裕が生まれ、再就職の是非を選択することができるようになったのは事実だが、失業給付そのものが問題を引き起こしているわけではない」とし、「雇用はなお拡大しており、見通しは明るい」と語った。
フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁は、公衆衛生上の懸念と不十分な子育て支援のほか、産業部門ごとに回復が一様でないことが米労働市場の緩慢な回復の背景にあるとし、FRBは景気支援を継続する必要があると確認。ワクチン接種を受けることをちゅうちょする動きのほか、新たな変異ウイルスの出現が経済に対するリスクとして台頭する可能性があると述べ、「経済情勢は改善しているが、回復はまだ途上にあり、景気支援策を引き揚げる理由はまだ見当たらない」と結論付けた。
サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は、米経済がインフレ押し上げと人材の採用難につながっている一時要因を乗り越え、来年は一段と強固な状態になると希望を持っていると表明した。
セントルイス地区連銀のブラード総裁は、インフレ高進の兆候について、FRBが懸念する水準には程遠く、むしろFRBの金融政策が奏功していることを示すもので歓迎すべきと発言。インフレ率は今年2.5─3%、22年も2.5%となる可能性があり、「インフレの2%超えを容認するFRBの政策にとり朗報だ」と述べた。