北米最大のパイプライン運営会社、米コロニアル・パイプラインは、東欧を拠点とするハッカーに500万ドル(約5億4700万円)近くの「身代金」を支払った。取引について知る関係者2人が明らかにした。

  コロニアルは身代金要求型コンピューターウイルス「ランサムウエア」によるとみられる攻撃を受けて数時間以内に、追跡困難な暗号資産で身代金を支払ったという。東海岸の主要都市へのガソリンやジェット燃料の供給再開を急ごうと、同社に非常に大きな圧力がかかっていたことを浮き彫りにする。

  ハッカーは支払いを受けた後、コンピューターネットワークを復旧させるための暗号解読ツールをコロニアルに提供した。ただこのツールによる復元プロセスが非常に遅かったため、独自のバックアップも使い続けて復旧につなげたと、事情に詳しい関係者1人は話した。

  コロニアルの担当者はコメントを控えた。

  米紙ワシントン・ポストやロイター通信など一部メディアは12日、パイプラインの操業再開のために金銭を支払うつもりは同社にないと報じていた。

  コロニアルは5日間のシステム停止を経て、米東部時間12日午後5時(日本時間13日午前6時)前後に操業再開に着手したと発表。13日午前には、大半の供給先に対し燃料輸送を再開したと明らかにした。

原題:Colonial Pipeline Paid Hackers Nearly $5 Million in Ransom(抜粋)
Colonial Restarts After Cyberattack But Fuel Curbs to Linger (3)(抜粋)