【ロンドン時事】英最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を中心とする空母打撃群が22日、極東に向けて南部ポーツマスの母港から出航した。英政府が打ち出しているインド太平洋地域への関与を強化する政策の一環で、海洋進出を強める中国をけん制する狙いもある。政府が「戦略的パートナー国」として重視する日本にも寄港し、自衛隊との共同訓練も実施する。
「グローバルパワー」意思示す 日本と統合・互換強化へ―英空母打撃群
クイーン・エリザベスは英海軍最大級の艦艇で、排水量約6万5000トン、全長約280メートル。今回が初の本格航海となり、地中海からインド洋を航行し、シンガポールやインドなどにも寄港。その後、南シナ海を通ってフィリピン海へと向かう。航行期間は約7カ月。日本国内での寄港先や時期は不明。
クイーン・エリザベスは英空軍と米海兵隊に所属するF35B戦闘機計18機のほか、攻撃用ヘリや対潜哨戒ヘリなどを搭載。打撃群はこの空母を中心に45型駆逐艦2隻、23型対潜フリゲート艦2隻などで構成され、米軍の駆逐艦とオランダのフリゲート艦も参加している。全体の要員は3700人。
出航に先立つ22日午前、エリザベス女王が自身の名を冠した空母を訪れ、艦長らと面会。ジョンソン首相も21日に艦内を視察し、乗組員を激励した。首相は船上でメディアに「中国の友人たちに、われわれが国際海事法(の順守)を信じているということを自信を持って、しかし対立的でないやり方で示したい」と表明。「誰も敵に回すことはしない」とも強調した。
英政府は3月に安全保障・外交の中長期計画「統合レビュー」を発表。中国の台頭を念頭に、インド太平洋地域に外交の重心を移す方針を打ち出した。空母派遣により、日本をはじめ「(民主主義の)価値観を共有する」(統合レビュー)国々との防衛協力の一層の深化を目指す考えだ。