[ワシントン 8日 ロイター] – 米バイデン政権は8日、半導体や電気自動車(EV)バッテリーなど重要な製品の入手について検討した結果を公表した。中国の不公正な通商慣行に「攻撃部隊(ストライクフォース)」が対処すると明らかにした。
政権の高官らは記者団に「サプライチェーン貿易ストライクフォース」は米通商代表部(USTR)が率い、サプライチェーンの「空洞化」の原因になっている具体的な違反行為を調査すると説明した。中国に対する措置も含めて貿易救済措置によって空洞化に対処できるかどうかを検討すると述べた。
またモーターなど産業用に使われるネオジム磁石の輸入が米国の安全保障に与える影響について、商務省が米通商拡大法232条に基づく調査の実施を検討していると明らかにした。米国はネオジム磁石を主に中国から輸入している。
バイデン氏は2月に重要なサプライチェーンの見直しを指示し、医薬品の原料やレアアース(希土類)を確保する上でのリスクについて、100日以内に報告するよう各省庁に求めた。
レモンド米商務長官は声明で「半導体はわれわれの経済の大部分を支える基礎的要素であり、国家安全保障や経済的競争力、日常の生活に不可欠」と強調した。
政権高官の一人は最初の見直しで対象となった4分野のサプライチェーン全てで「多くの外国政府」による不公正な通商慣行が確認され、政府補助金や知的財産の移転強要などがあったと述べた。
「中国による数々の政策措置が米サプライチェーンを脆弱にしているのは明白だ」とし、ストライクフォースが対中政策の策定に貢献するとの見方を示した。
米国は同盟国や友好国と貿易戦争を行うつもりはないとも述べ、ストライクフォースは「非常に的を絞った製品」に焦点を当てると語った。
今回の見直しは、明確に中国に対抗するものではないものの、中国がもたらす課題に向き合い、米国の競争力を強化するための幅広い戦略の一環とみられる。
大統領経済諮問委員会(CEA)のジャレッド・バーンスタイン委員はロイターに対し「供給制約(ボトルネック)の解消に向け、サプライチェーンの背後にある全ての物流の把握に努めている」と指摘。「そのための最良の方法の一つは、業界の人々と意見交換することだ」と語った。
こうした中、米国家経済会議(NEC)のファジリ副委員長は、供給制約の問題や一部製品の価格上昇が一過性にとどまり、今後数週間で解消すると予想。速いペースでの景気回復が価格上昇などの問題の背景にあると指摘したほか、サプライチェーンの問題に対処する上で民間部門にも果たすべき役割があるという考えを示した。
高官らは半導体の供給不足を直ちに解消するための新たな措置にはほとんど言及しなかった。説明資料は商務省とエンドユーザー間の「情報交換の促進」に努め透明性を高めるために努力するとしている。
別の高官は「全てを国内でつくるつもりはない。しかし重要な製品については、国内での製造能力を高める必要がある」と述べた。